「自己肯定感」という言葉を、最近良く耳にしませんか?
自分を肯定的に捉える、あるいはありのままの自分を受け入れるということは、さまざまな困難を乗り越えて充実した人生を送るためだけでなく、他人と協調していくためにも必要なことといえます。
自分を否定的に捉えると、他人のことも否定的に捉えたり、他人からの言動を被害的に捉えたりすることで、対人関係がうまく成立しなくなってしまうからです。そうなると、コミュニケーションをとることが難しくなってしまいます。
引用元: 自己肯定感「低い子供」が減らない日本の危うさ- 東洋経済オンライン
自己肯定感をどう育んでいくのか、いまや、教育業界のみならず精神学会や政府を巻き込んだ大きな議論となっています。
日本人の半数は自分自身に満足していない?
日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査(内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度)」)によると、「自分自身に満足している」という人は日本人全体で45.8%と、半数を下回る結果になっています。また、「自分には長所がある」と答えた人も68.9%と7割にわずかに届かない結果となっており、どちらも欧米の先進国に比べるとかなり低い数値です。
自分自身に満足している
自分には長所がある
- 他人を尊重し、コミュニケーション能力が高い
- 自分の感情や衝動をコントロールできる
- ポジティブで、プラス思考
- 物事に意欲的かつ集中して取り組むことができる
- 失敗を怖れず、チャレンジ精神がある
- 人と自分を比較することが少なく、幸福度が高い
一方、自己肯定感が低い子どもは、成功よりも失敗した体験を強く意識し、自分を否定的に捉える傾向にあると言われています。自己肯定感を高めるきっかけがないまま大人になってしまうと、情緒不安定、協調性や粘り強さに欠けるなど、生きづらさを抱えてしまうこともあるのです。
日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査(我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度))の結果からみえる、日本の若者の意識の特徴を、「自己認識」「家庭」「学校」「友人関係」「職場」「結婚・育児」の6つの項目から分析し、子ども・若者育成支援施策に対する示唆を考察。
引用元: 内閣府調査「今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~」
かつて、勤勉な性格や労働意欲を背景にものづくり大国として名を馳せた日本ですが、近年は「日本からイノベーションは生まれにくい」という論調をよく見かけます。自己肯定感の低い人が増えすぎたことが原因かもしれませんね。
入園当初(年少さん)は手足の動きがぎこちなく、自分ひとりでは何一つできなかった子が、数カ月で大きな変化を見せた例。「カーサ・デ・バンビーニ」でも毎年見かける光景です。
大丈夫かな…と心配しながらも半年ほど過ぎた頃、Bくんの様子に変化が見られました。
相変わらず着替えはスローペースでしたが、自分でやろうとするようになっていました。まだぎこちなさは残っていましたが、その動きの中にBくんの「やってみよう!」と言う気持ちがはっきり見えたのです。
さらに半年後、年中さんにあがる少し前。今までと同じようにBくんの着替えを手伝おうとそばに行くと「だいじょうぶだよせんせい!ぼく、もうひとりでできるから。」
二度見ならぬ二度聞きしそうになりました。「え、今なんて言った?だいじょうぶだよって?ひとりでできるからって?あのBくんが?」引用元: モンテッソーリ教育で消極的な子どもはどう変わるのか。-モンテッソーリポータル・バンビーノ
やがて、「自分でできた!」「できるようになるまで頑張った!」喜びを実感し、自己肯定感を高め、心の深い部分での自信となります。すると今度は「自分のできることで人の役に立ちたい」という気持ちが出てきます。
モンテッソーリの3~6歳混合クラスでは、自分より小さなお友達がいつも一緒にいます。お手伝いしたい!やってあげたい!と思えばできる環境が常に整っているのです。
だから自分ができるようになると、困っているお友だちを手助けしたり、小さなお子さんのお世話をしたりという変化が自然に起こります。
その中で、「ここは自分でやりたいみたいだから、手伝わない方がいいな」「ここだけ手伝ってあげたら喜んでくれたな」と、相手の気持ちを想像し、尊重しながら人と関わることを実践的に学んでいきます。
これらの体験が積み重なって社会性が育ちます。引用元: モンテッソーリ教育で消極的な子どもはどう変わるのか。-モンテッソーリポータル・バンビーノ
子どもが「自分は愛されているんだ」「生きているだけで価値があるんだ」と思える状態を常に心掛けることが、自己肯定感を育むことにつながります。
以下は、「子どもの“自己肯定感”がぐんぐん高まる! いますぐ使える魔法のフレーズ【言葉がけまとめ】」で紹介されている、「子どもが“愛されている!”と実感する魔法の言葉」です。
- 「いつでも味方よ」
子どもは世の中に絶対的な味方がいると思えると、挑戦する勇気や、前向きに生きるエネルギーが出てきます。- 「もっと聞かせて」
子どもは、親に話を聞いてもらうのが大好き。「うちの子は全然話してくれない」という場合、もしかしたら無意識に親が話をさえぎったり、求められてもいないアドバイスをしたりしているからかもしれません。子どもは「受容されている」という安心感があるからこそ、話したくなるのです。その受容感を抱かせるのが「もっと聞かせて」の一言です。- 「信頼しているよ」
親から「○○ちゃんのこと、信じているよ」「○○くんなら、きっと大丈夫」と言ってもらえるだけで、子どもは「自分は親から信頼されている」と感じることができます。そして、親の信頼に応えるためにも、自分のことを大切に扱うことができるようになるのです。- 「よく頑張ったね」
子どもの毎日は、初体験や挑戦の連続です。親が結果ばかりにとらわれていると、「どうせお母さんは100点を取らなきゃほめてくれないんでしょ」など、結果がすべてだと思ってしまいます。結果だけではなく、子どもが頑張った過程にも目を向けるようにしましょう。- 「○○ちゃんを愛しているわ」
究極的に親からの愛が伝わる言葉は、やはりこれです。日本人は「好き」とか「愛している」と言葉に出すことに慣れていない人が多いですが、言葉で伝えることは、とても大切なのです。引用元: 「子どもの“自己肯定感”がぐんぐん高まる! いますぐ使える魔法のフレーズ【言葉がけまとめ】」- ハピママ
そして、「達成感」をふんだんに与えるために、必要なフレーズは「あなたなら出来る!」と「出来たじゃない!」の2つ、とも紹介されています。なにかに失敗しても「次はきっとうまくいくよ」「○○ちゃんなら大丈夫」と声掛けすることで、安心感につながり勇気を持って頑張れるようになります。
対して、失敗したときに「やっぱりだめだった」や「また失敗するんじゃない?」などは、芽生え始めた自信を根こそぎ奪い取る呪いの言葉とも言われています。
モンテッソーリ教育では「褒めない・叱らない・教えない」が大きな特徴。ちょっと冷たく聞こえますか?
これは、従来の一斉指導に見られる一般的な意味で、です。
「カーサ・デ・バンビーニ」では、子どもが作った作品を見て「とっても上手ね」と言う代わりに「どこをどう工夫していたのか」という事実を言葉にして伝えています。
子どもたちが明日から、一人でできるようになるためにやり方をゆっくり、示して見せ、元に戻して子どもにも促し、見せ方が適切だったかを見る。「教える」というより、教師自身への「フィードバック」。
子どもたちは4月当初、シール帳にシールが貼れたら、トイレでパンツが下ろせたら、片付けができたら、“Good Job” “Well done”などの「褒め言葉」を待っていたよう。
でも、最近めっきりそれらを口にすることは無くなりました。それは、子どもたちの日課の中に自分でできるんだから、自分でして当然。という意識に転換されたからのようです。
先生のためにしてるんじゃない。褒められるためにしてるんじゃない。自分の事を、自分でする。できるって気持ち良い!やればどんどんできるようになる!お友だちも助けてあげられる!という自信と、自己肯定感の塊。自分の心身の発達を促してくれる先生への信頼。
そうなると、片付けも、トイレも、歯磨きもごくごく自然にできるようになる。ご褒美シールやご褒美お菓子は全く必要ありません。
「できた!できた!できたよ!!!」と室内の先生を見つけて駆け寄ってきたK君。これまでどうしてもズボンのお尻部分が上げられなかったんだけど自分で奇跡的に上げられた!
もうすぐできるようになるとわかっていた教師はその時、自分一人で集中できるようにあえて着替えの場に一緒にはおらず、そっと遠くから見守っていました。K君が来た時に、「何を、どんな風にしてできたのか、K君の気持ち」を言葉にして伝えました。
巷には「褒めて伸ばせ!」的な育児法が溢れています。「褒める」こと自体は悪いことではないと思うけど、
子どもの観察を通して「具体的な真実を細かに伝えてあげる」ことが、実際の動作につながり、達成感に伴う心の発達につながり、語彙の増加にもつながる。いいことだらけ!!!でしょ?
モンテッソーリ教育で自己肯定感を育む「カーサ・デ・バンビーニ」にお問い合わせください
子どもは、その時期の発達に沿って「一人でやりたいこと」が出てきます。それは、ある時期・ある行為にのみに現れることがわかっており、その時期を「敏感期」と呼んでいます。
敏感期には、その時期に合わせた専用の教具を使って遊びます。それらの教具を使ったあらゆる学習活動を「お仕事(しごと)」と呼び、子ども自身が自由に選んで遊ぶことで、自ら発育と自立へと導きます。
マリア・モンテッソーリが考えた「自己肯定感」を育む子どもの成長サイクル
- 興味・関心
子どもは、初めての環境では警戒し保護者の陰に隠れていますが、安全だとわかると、いろいろなものに興味・関心を示します。 - 自己選択
感触を楽しめるものや成長のためにやらなくてはならない活動を自ら選びます。これが「自己選択」という最も大切なステップです。 - 繰り返し・集中現象
自分の成長に合わせて選んだお「お仕事」に集中し、繰り返すようになります。 - 満足感・達成感
繰り返し繰り返し集中したことで、最初はできなかったことでできるようになり、満足感や達成感を獲得します。 - さまざまな能力を習得
一度満足感や達成感を得ると、他のことにも積極的に取り組むようになります。 - 自己肯定感を自ら育む
1〜5のサイクルを何度も経て、「自分は何でもできる」「いろんなことに挑戦したい」という自己肯定感が生まれます。
○自己肯定感が高い人
- 能動的
- 主体的
- 意欲的
- 他者の意見を尊重する
- 他者の評価を気にしない
- 問題解決能力が高い
✗自己肯定感が低い人
- 受動的
- 従属的
- 消極的
- 否定的
- 他者の意見を聞けない
- 他者の評価に振り回される
- 罪悪感を持ちやすい
自己肯定感が高い人生と低い人生、どっちが幸せか、一目りょう然ですね。子どもの脳は日々進化しています。自己肯定感の土台は0歳から10歳までの間に出来上がるとも言われています。お子さまの「自己肯定感を育みたい」とお考えならぜひお問い合わせください。