6歳までの「自己選択」と「自己決定」
モンテッソーリ教育では、「遊び」という言葉は使いません。
普段の活動や生活の全体を「おしごと」と呼んでいます。
大人が生きるために「仕事」をするのと同じように、子どもの発達や成長にとって必要な活動(自分自身を構築していく活動=しごと)だからです。
これらは、大人が決して「~しなさい」といってさせるものではありません。
子どもが自分の成長に必要なものを「やりたい」と自分自身で意思決定し、やるものなのです。
たとえば、花に水やりをするという「おしごと」をする場合、
・じょうろを取りに行く。
・じょうろの中に水をいれる。
・水入りのじょうろを運ぶ。
・花に水やりをする。
・じょうろを片付ける。
という基本的な意思決定からはじめ、さらに、
・じょうろの水を運ぶときにこぼさないよう量を調整する。
・ゆかに水をこぼしてしまったら、ふく。
・ゆかをふく時の道具に何を使うか、考える。
・お花の水のあげかたを加減する。
など、より高度な意思決定を自分から順序だてたり(論理的思考の構築)、工夫したり(問題解決能力の獲得)するようになります。
自分自身を構築するため、本人が満足するまで「おしごと」を日々5~10回、選択し、取り組みます。
この一日約10回の「選択」は、1週間で50回、1ヶ月で200回にも及び、自分の意思を使う「訓練」をすることにより、自分の好きなこと、快適に思うもの、没頭できるものを知り、自分自身のことを知り、深く理解するようになります。
6歳までに自己決定する機会がふんだんにあることで、自分と向き合い、自分を知り、それこそが高い自己肯定感を培う基礎となるのです。
大人でも毎日多くの選択肢に直面しながら生きています。子どもも同じ。
その時その時の満足いく自己決定こそが、幸せに生きていく鍵となり、ウェルビーイングな人生への基盤となるはずだと思います。